2007年11月28日水曜日

そして毎日



夕方、家に帰るとがらんとしている。結婚式のために日本から来ていた両親が帰っていった。朝起きると、台所で先に起きている人の気配がすること、仕事から帰ると温かい夕飯ができていること、自分の国の言葉でとりとめもないことを話すこと、お茶を飲んで一息つくこと、そういう些細な家族の日常を忘れないようにしよう。週末に観光したアルル、帰りがけに風の強いローヌ川を振り返った。

2007年11月11日日曜日

生きる



ここ数日、風が強い。歩いているだけで飛ばされそうだ。ミストラルと呼ばれるこの風はとても冷たい。うちの前の大きなアカシヤの木も、きれいに黄葉してきたと思っていたら、みるみるうちに葉を落としている。今日はテラスに出ていたサボテンを急いで室内に非難させた。太陽の光に嬉しそうにしていた植物も風にはやられっぱなしである。ここの人たちは挨拶がわりに言う。「今日は風もなくて」[今日は風がひどくて」....小さい時、田舎の鹿児島に行くたび、人々がいつも桜島の灰を気にしていたのを不思議に思ったものだけど、それぞれの地域に、それぞれ避けられない自然とのかかわりがある。実家の埼玉では江戸川が近くにあり、大雨の降った翌日は土手のぎりぎりまで水が氾濫していたのをよく目にした。パリの天気は気まぐれで本当にしょっちゅう雨が降る。それでも鹿児島の堂々とした桜島はすばらしく立派だし、犬の散歩を毎日した江戸川の土手は私の故郷、灰色のぐずぐずした空はパリのシックな街並みを引き立てる。南仏の青空も、この風で常に大掃除されている故でもある。まるで完璧ということはないし、美しいものにはたいてい犠牲が伴うものです。

2007年11月2日金曜日

めったやたらに笑わない


もう10年くらい集めているポストカード、ふと思いついて油絵のキャンバスにコラージュしてみた。引っ越す度に
ドアや壁に分けて飾っていたのだけど、こうして並べてみると60年代、70年代のクラシックなものが多い。
インテリアもファッションも私は古いものが大好きだ。そしてむやみに笑わない気高い眼差しの女たち、これにとても弱い。私ときたら馬鹿みたいに笑ってばかりいるのだけど。

2007年11月1日木曜日

ハロハロハロウィン






10月31日。ハロウィンだ。ハロウィンとは死者のお祭り、日本でいったらお盆だろうか。もともとはフランスが発祥地らしい。とはいえ仮装した子供達がドアをたたいて「お菓子くれないといたずらするぞ!」というのはアメリカのビジネスを目的にしたアイデアだと聞いたことがある。日本のバレンタインデーの義理チョコみたいなものかもしれない。それでもお祭り大好きな私たち、せっかくなら楽しもうじゃないの!ということでカボチャをくりぬいてローソクをたて、家の中も外も飾り立ててこちらも仮装してこどもたちを待っていた。夕方6時過ぎ、日が暮れ始める。ピンポーン!!!来た!!魔女やお化けや骨ホネロック、ちいさなお化けたちが嬉しそうに籠を差し出している。パリではめったにないこと、小さな村ではやっぱりなんでもかんでもお祭りなのね!と感動していたら、次から次にチャイムが鳴り、用意していた飴も全部なくなってしまった。それにしても仮装していた大人は殆どいなかったらしく、
びっくりさせるつもりで来たこどもたちが逆に「あっ本物!!」と固まってしまって可笑しかった。