2007年12月28日金曜日

東京より


東京の友人から小包が届いた。それは本当に小包という感じのクラフト紙と紐でしっかり守られた包みで、すぐに日本からだと思った。かわいい紙箪笥のなかには目をみはるような鮮やかな和菓子、そしてきれいな缶に入ったお茶。
粋だなあ。ヨーロッパはここ数年すっかり東洋ブームで和食器もよく見かけるけれど、どうもアジアのいろんな国のイメージがごちゃ混ぜになっていて、あの日本の繊細さに出会うことは稀だ。ああーうっとり。食べるのがもったいない。

2007年12月26日水曜日

変化


これは最近の看板。雨ニモマケズ風ニモマケズ、というわけにはいかずに新学期に作った看板があっけなく壊れたので新しくした。それはそうと、インターネットの出現で世の中はすっかり変わったとつくづく思う今日この頃。というのも教習所に行きなおす前に標識からやりなおそうと思いついて、ここ数日パソコンに張り付いて勉強しているのだ。簡単な標識のテストがモニター付きでできる。普段使わないので知らなかったフランス語の交通用語もこうして覚えていく。10年前、朝早く起きて教習所に通い、家ではぶ厚い教本を暗記し(日本語でもまったく意味がわからなくて泣きそうだった)半年かかってやっと取った免許、あの頃もこうやってパソコンで勉強してた人もいるのかしらん。それから健康オタクの私、こうして海外にいてもちょっと具合が悪いとイソイソとパソコンを開けて「えーとシモヤケになった時は・・」とか調べているのだけど、以前の私の心の友はもちろん一家に一冊「家庭の医学」。どっしりと黒くって頼もしいんである。インターネットで学生の調べものの仕方もだいぶ変わっていると思う。子供の宿題しかり。それでも例えば私の活字中毒はやっぱり紙の本でないと満たされないし、本やCDが売れなくなっている、と聞くと寂しい。こんなこと、皆言ってると思うけど、そして私は今こうしてブログを書いているんだし。

2007年12月25日火曜日

贈り物について




気持ちは充分盛り上がっていたのに、クリスマスイブに風邪を引いた。私だけティッシュを離さずに家族で食事をし、0時をずぎたらプレゼントを渡しあう。だいたいフランスのクリスマスは日本のお正月のように家族で過ごすのが定番で、その直前には誰に何を贈るか、というのでてんてこまい、正直めんどくさいなあと思うこともある。プレゼントなんて本当に贈りたいときにしたらいい、お金もかかるし時間もないし、と大混雑のお店の中では思うのだけど、品物を選んでいるうちに、これ、喜んでくれるかなあ、なんて思ってだんだん嬉しくなってくる。日本だったらお中元、お歳暮、お年玉、としきたりの贈り物はもっとずっと大変だろう。形式にとらわれて義務になっていくのは寂しいので、一年に1回、お礼をしたい人に贈り物をする日、と考えることにしている。ところでクリスマスに限らず、心のこもったプレゼントを時々もらう。ピアノにくる子供たちの絵だ。これには本当にかなわない。

2007年12月17日月曜日

長い夜のまえに



電線を見ると日本を思い出す。車は相変わらず助手席のペーパードライバー。ちょっと乗ってみたけれど、すぐに却下。まず標識やいろいろな決まりごとを覚えるところからやりなおしだ。こんな調子で本当に運転できる日が来るんだろうか。近頃日の暮れるのがめっきり早くなって、でも私はきちんと夕方に日の沈む冬時間のほうが安心する。ずっと日にさらされて気づいたら寝る時間!という日照時間の長い夏時間より、これから長い夜が始まると思うとわくわくする。それは一生変わらないんじゃないかと思う。変わらないといいな。

2007年12月15日土曜日

静かなものがたり




クリスマスの絵本をひとつ。ルーマー・ゴッデン作バーバラ・クーニー絵、日本では「クリスマス人形のねがい」(掛川恭子訳)というタイトルで出版されているらしい。フランス語では「Prune et Fleur de Houx/プラムとヒイラギ」と、まったく異なる題だ。おもちゃ屋さんで売れ残っていたお人形ヒイラギと孤児のプラムがクリスマスに出会う。ヒイラギは真っ赤なドレスに緑の靴下で、クリスマスにぴったりのお人形。それが日本版ではホリー、孤児のプラムはアイビー。原作の英語はどうなんだろう。静かな物語、というのが私の一番好きな本のパターンで、こういう本は何回も何回も読む。バーバラ・クーニーの絵もすばらしく淡々としていて、靴下のずり下がったプラムのイラストに胸を打たれて数年前に衝動買いした。

2007年12月9日日曜日

ここでのクリスマス




村役場にクリスマスの灯りがついた!うちは目の前なので、毎晩用もないのに外を眺めて楽しんでいる。教えている音楽教室も幼児教室もクリスマスの曲に歌にお話に、とここのところすっかりクリスマス漬けだ。それでも決していやにならない。パリや東京には大きなプレゼントの包みを抱えて嬉しそうに(時にはしんどそうに)歩いている人があふれている頃だろう。あちこちで音楽がじゃんじゃか鳴って。いつだったか12月にパリでバスに乗っていて、仕事の帰りで疲れ切っていたのだけど、街中ローソクの載ったケーキみたい、と思ったことがあった。それで周りはすごく賑やかなのに、自分の中だけが不思議としんみりしたのだ。ああいう街の喧騒は決して嫌いじゃなかった。今私の周りはクリスマスもやっぱりささやかな感じで、こりゃまた悪くないなーと感じている。

2007年12月4日火曜日

課題




ようやく一段落付いたので、いろいろサボっていたことを試みる。それにしても大人になればなるほど、自分を管理して厳しく生きることのなんと難しいことだろう。楽なほうに楽なほうにと流れていくことのなんと簡単なことだろう。それでも元来キマジメな方なので罪悪感にかられては、またやり続ける。そうしてその度にまた始めたてのように嬉しくなる単純な性格に、助けられている。

2007年12月2日日曜日

受け入れ方、溶け込み方





いよいよ寒さが増してきて12月。今日はクリスマス市に参加した。母手製の和風バッグの販売に日本食(おにぎりに卵焼き、巻き寿司)の試食、折り紙体験と盛りだくさんで朝からスタンドに立った。プロヴァンスの田舎では日本は未知の世界とみえて、いろいろと質問を受ける。そして時々生徒さんや顔見知りのご近所さんが遊びに来る。ふと、9月に音楽教室の宣伝デーにスタンドに立ったことを思い出した。あの時、知り合いはまだまだ少なくて、人々に声をかけるのに勇気がいった。あれから3ヶ月、気づいたら結構ここに溶け込んでいる。

2007年11月28日水曜日

そして毎日



夕方、家に帰るとがらんとしている。結婚式のために日本から来ていた両親が帰っていった。朝起きると、台所で先に起きている人の気配がすること、仕事から帰ると温かい夕飯ができていること、自分の国の言葉でとりとめもないことを話すこと、お茶を飲んで一息つくこと、そういう些細な家族の日常を忘れないようにしよう。週末に観光したアルル、帰りがけに風の強いローヌ川を振り返った。

2007年11月11日日曜日

生きる



ここ数日、風が強い。歩いているだけで飛ばされそうだ。ミストラルと呼ばれるこの風はとても冷たい。うちの前の大きなアカシヤの木も、きれいに黄葉してきたと思っていたら、みるみるうちに葉を落としている。今日はテラスに出ていたサボテンを急いで室内に非難させた。太陽の光に嬉しそうにしていた植物も風にはやられっぱなしである。ここの人たちは挨拶がわりに言う。「今日は風もなくて」[今日は風がひどくて」....小さい時、田舎の鹿児島に行くたび、人々がいつも桜島の灰を気にしていたのを不思議に思ったものだけど、それぞれの地域に、それぞれ避けられない自然とのかかわりがある。実家の埼玉では江戸川が近くにあり、大雨の降った翌日は土手のぎりぎりまで水が氾濫していたのをよく目にした。パリの天気は気まぐれで本当にしょっちゅう雨が降る。それでも鹿児島の堂々とした桜島はすばらしく立派だし、犬の散歩を毎日した江戸川の土手は私の故郷、灰色のぐずぐずした空はパリのシックな街並みを引き立てる。南仏の青空も、この風で常に大掃除されている故でもある。まるで完璧ということはないし、美しいものにはたいてい犠牲が伴うものです。

2007年11月2日金曜日

めったやたらに笑わない


もう10年くらい集めているポストカード、ふと思いついて油絵のキャンバスにコラージュしてみた。引っ越す度に
ドアや壁に分けて飾っていたのだけど、こうして並べてみると60年代、70年代のクラシックなものが多い。
インテリアもファッションも私は古いものが大好きだ。そしてむやみに笑わない気高い眼差しの女たち、これにとても弱い。私ときたら馬鹿みたいに笑ってばかりいるのだけど。

2007年11月1日木曜日

ハロハロハロウィン






10月31日。ハロウィンだ。ハロウィンとは死者のお祭り、日本でいったらお盆だろうか。もともとはフランスが発祥地らしい。とはいえ仮装した子供達がドアをたたいて「お菓子くれないといたずらするぞ!」というのはアメリカのビジネスを目的にしたアイデアだと聞いたことがある。日本のバレンタインデーの義理チョコみたいなものかもしれない。それでもお祭り大好きな私たち、せっかくなら楽しもうじゃないの!ということでカボチャをくりぬいてローソクをたて、家の中も外も飾り立ててこちらも仮装してこどもたちを待っていた。夕方6時過ぎ、日が暮れ始める。ピンポーン!!!来た!!魔女やお化けや骨ホネロック、ちいさなお化けたちが嬉しそうに籠を差し出している。パリではめったにないこと、小さな村ではやっぱりなんでもかんでもお祭りなのね!と感動していたら、次から次にチャイムが鳴り、用意していた飴も全部なくなってしまった。それにしても仮装していた大人は殆どいなかったらしく、
びっくりさせるつもりで来たこどもたちが逆に「あっ本物!!」と固まってしまって可笑しかった。

2007年10月28日日曜日

冬のはじまり



10月最後の日曜日は冬時間のはじまり。ここのところ気温がぐっと下がってきた。レトロな暖房の出番である。私は春生まれなのだけど、春や秋といった季節の変わり目より、はっきりとした夏や冬の方が好きだ。特に冬のマフラーや帽子や手袋といった防寒小物をたくさん身に付けて「よしっ」と気合を入れて外出する感じや、家に帰ってきてストーブにあたって温かい飲み物を飲んだり、湯たんぽをいれた寝床にそうっと入ったりするときに感じる至福感はたまらない。そうだ。実家にいた時はコタツというのがあったなあ。コタツは入ったら最後、もう出られない、魔のぬくぬく。そして冬は、すきやきにお鍋、おでん、と皆で食卓を囲むメニューも多い。そしてホカホカの焼きいも、肉まん・・・考えただけで嬉しくなる。だいたい食欲旺盛すぎてびっくりされる私だけど、冬は食べることを考える時間も倍増だ。先日八百屋さんでサツマイモを見つけたので今日はお昼に甘辛いキンピラを作った。

2007年10月14日日曜日

想像、創造、遊び




昔、受験勉強の一環で「遊びについて」という小論文を書いたことがある。芸術はいつも遊び心から生まれる、とかなんとか書いたように思うのだけど、たいした人生経験のない高校生が机の上でひねり出した言葉に重みはなかった。それでも今そんなことを思い出したのは最近、幼児教育という新しい分野の仕事をしているからだ。遊びながら聴覚を発達させていろいろな感覚を目覚めさせる、想像力を養う、・・・といろいろ目的があるらしいけど、私の願うところはただひとつ。注意深く耳を澄まして、ただただ音楽を好きになってほしい。形のないあやふやなものに取り憑かれるのも悪くない。目に見えなくてもひとつのことにじっくり取り組むと、それが糧になって自分を支えてくれることがある。それは他人(論文だと他者、というところ)に手を差し伸べられたのではどうしてもダメで、自分の内側からだけ湧き出てくるものだ。単に結果や目的ではなく、音楽がずっとその人の人生に寄り添って助けになるといい。そのスタートをいいものにしたい。
写真の絵は参加型音楽劇「ねことねずみ」、プロコフィエフ[ピーターと狼」、サンサーンス「動物の謝肉祭」

2007年10月11日木曜日

外出


買い物があって、初めてひとりで電車に乗ってマルセイユに行った。コルニヨンには駅がない。バスが一日に数本出ているらしいけれど、一度40分待っていても来なかった。従ってどうしても車がいる。そしてペーパードライバーの私はなかなかひとりでは出かけられない。それでも近く(といっても車で20分)の駅まで送ってもらって緊張しながら電車に乗ると「なんだ簡単じゃないの」と気が抜けた。マルセイユには色とりどりの牛がいた。

2007年10月8日月曜日

大発見

Saint Chamasサン・シャマという隣町を
車で走っていたら、こんな図書館を発見してびっくり。やるなあ田舎町よ!急いでいたので中には入れなかったけれど、楽しみがひとつ増えた。次は中身もチェックするのだ。

2007年10月2日火曜日

外でごはん


ここ数日風もなく気持のいい日が続いている。家のなかより暖かいのでお昼ごはんをテラスで食べた。外に出られない猫だけが不満気味。

2007年9月30日日曜日

今日の収穫





せっかく田舎暮らしを始めたのに、毎日 あわただしく過ぎてゆく。日曜日くらい散歩しようじゃないか、ということで今日の午後はたっぷり歩いた。森は秋の気配に満ちている。そこらに落ちているどんぐりや松ぽっくりを拾い、野草を摘む。家に帰って飾ってみたら、なかなかいい感じである。ついに生活が大草原の小さな家化してきたワ、とにんまりする。とはいえ運動不足で足腰が微妙に痛い。

2007年9月29日土曜日

目の前にひろがるもの

ここコルニヨン・コンフーは丘の上にそびえたつ。さっき歩いていたら夕方の冷たく澄んだ空気に、なだらかな景色が遠くまで遠くまで続いていた。こういう自然の中で暮らしたことがないので、時々信じ難くハッとする。

2007年9月28日金曜日

うちでごはん




作るより食べる方が好き!と言い続けてきた私だけれど、なんだか最近作るのも楽しい。今週は彼のおばあちゃん、マミーにフランスの家庭料理を習っている。冷蔵庫にあるものでちゃちゃっと作って美味しいもの、それが本当の家庭料理だと思う。そしてお肉を使わなくてもおなかっていっぱいになるもんなんだな。①ズッキーニのオムレツ:ズッキーニの皮をむき、輪切りにする。フライパンに油をいれ、ズッキーニを浸して蓋をする。ニンニクを加えて香りをつけ、時々かきまぜながらキツネ色になるまでおく。卵をボールに割りいれ、塩コショウし、フライパンにかぶせて一緒に焼く。とろとろの半熟めが美味しい。②ネギのベシャメルソースがけ:ネギを4等分に切り、柔らかくなるまで煮る。ベシャメルソース→牛乳半カップ、粉末ミルク大さじ3、水半カップを小さい鍋にいれ、バターを加えて火にかける。バターを少しずつヘラでとかす。小麦粉大さじ1を加え、泡だて器でダマにならないようにかき混ぜる。(あれば)ナツメグを一掴み入れると香りが出る。プロセスチーズを適当に加えて混ぜる。火からおろしグラタン皿にしいたネギにベシャメルソースをかけ、チーズをかぶせてオーブンで30分こんがり焼く。バターライスとよく合う。