2008年3月30日日曜日
150年目
今年は日本とフランスの国交が始まって
150年ということで、あちこちでいろいろな催しがある。
マルセイユにあるmaison de l'artisanat des metiers d'art(文化センターのような場所、内装は石造りでなかなか素敵)では
3月中、毎週土曜日に折り紙、茶の湯、などの紹介があり、とくに最終日の昨日は
お琴と生け花、日本舞踊ということで楽しみにしていた。ごちゃごちゃしたマルセイユの中心に車で
到着すると、すでにすごい人だかり。
[小さいんだから押し入りしなさい!」と皆に押されてやっと隙間を見つける。
ああ着物!ああお琴の音色!
お辞儀の時も目を伏せている、つつましやかな日本女性。神秘的で仕草がとてもきれい。
会場には期間中、着物は勿論、家具に食器に美術品に、いろいろな日本文化の展示もあった。
一緒に行った家族に聞かれるまま、ちょっと適当に答えていると
知らないフランス人が横からフンフンと頷いて聞いている。
そこで説明する度に「・・・と思う、そうじゃないかもしれないけど」とつけくわえる。
すぐ顔に出るフランス人達、次第にほんと?と言う顔になってくる。
ああ勉強不足だな。自分の国なのに。
それにしても南仏にも、こんなに日本に興味のある人がいるんだ、と思うと嬉しかった。
有名なマルセイユ石鹸の芸者版ポスターがなかなか粋だ。
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日常 La vie
2008年3月27日木曜日
言葉は魂
外国語は頭の中で訳さずにそのままのニュアンスで覚えるべきだと
思っていた。
日常会話はそのほうがずっと早い。
そして時々通訳の機会があると
原語との違和感をよく感じた。
言葉をそのまま訳したって
それを言わせた
感情まで伝わるものではない。
ところで久しぶりにソプラノ歌手のオードとの
コンサートのためにフランス歌曲をさらっている。
そして歌詞を今までは原語のまま捉えていたのを
ふと思いついてひとことひとこと
訳してみようと思ったから大変だ。
これは今フランス語の児童書を少しずつ
ノートに訳していることから思い立ったのだけど、
ぴったり当てはまる言葉というのは
なかなかない。それで思い切って別の言い方をしてみたり
すでに出ている日本語訳を探したりしているうちに
日本語の美しさに
あらためて驚いた。
たとえばこれは有名な例だけど
ボードレールの[l'invitation au voyage]
そのまま訳せば旅への招待、これを
堀口大学は
『旅へのいざなひ』と訳した。
だいたい詩人というのは言葉の選択者なのだろうけど
それにしてもすごい。
言葉一つで世界がぐらりと揺れる。
[ペンは剣に勝つ」といったのは
大江健三郎だったと思う。
そして伴奏する時には音符と歌詞を同時に見て
瞬時にイメージを湧かせなくてはならない。
その時楽譜から飛び込んでくる日本語の、
心にまっすぐ入ってくるスピードは相当早い。
一つ一つの文字が意味をなさないアルファベットに比べて
それ自体が記号である漢字のせいも
あるだろう。
言葉は魂。
時々こういう発見をしては
興奮している。
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音楽 Musique
2008年3月24日月曜日
復活祭
少し前からウサギや卵の形のチョコレートが街にあふれている。イースター、復活祭だ。フランスではパックpaquesという。
もともとは宗教的なお祭りだけれど、今では家中に隠してあるチョコレートを子供達が探しまわるという習慣だけが
残っているという。
私たちは大人だけの家族なので、ただ集まって食事をして(それも義母のリクエストで今年はお寿司、復活祭とは何の関係もない)、
それでも子供時代を思い出させるようなプレゼントをもらった。
デザートはチョコレートのほかに、おばあちゃんの18番、揚げ菓子オレイエット。
ああ食べすぎで体が重たい。お祭りの後はいつも軽い後悔がつきまとう。
もともとは宗教的なお祭りだけれど、今では家中に隠してあるチョコレートを子供達が探しまわるという習慣だけが
残っているという。
私たちは大人だけの家族なので、ただ集まって食事をして(それも義母のリクエストで今年はお寿司、復活祭とは何の関係もない)、
それでも子供時代を思い出させるようなプレゼントをもらった。
デザートはチョコレートのほかに、おばあちゃんの18番、揚げ菓子オレイエット。
ああ食べすぎで体が重たい。お祭りの後はいつも軽い後悔がつきまとう。
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日常 La vie
2008年3月20日木曜日
簡単おやつ
リーフパイの作り方を教わった。
フランスではpalmier(椰子の木)とよばれる。
椰子科のシュロの葉からきているらしい。
私はそっけない葉っぱのモチーフが好きだ。
どうかすると甘すぎる花よりも。
そしてこのさくさくのお菓子は昔からの大好物。
こんなふうに、うちで作れるとは思わなかった。
1.パイ生地に砂糖をふりかける。
2.両側から真ん中までクルクル巻く。
3.好みの太さに包丁をいれる。
4.形を整えてオーブン板に並べ砂糖を全体にまぶす。
5.温めておいたオーブン200℃に入れて10-15分。
ちょっと見逃した隙に
底が少し焦げてしまった。それでも
お味は上々。
といっても私がしたのは味見だけ。
本を片手に美味しいお茶とおやつの時間、平和だなあ。
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日常 La vie
2008年3月19日水曜日
平日の昼間に
平日のお昼に連れあいの友人の家に招かれた。
音楽教室というのは、たいてい子供が学校の終わる時間帯に始まる仕事なので、
午前中や午後の早い時間というのは家事をしたり
自分のためにピアノを弾いたりして家にいることが多い。
そうでなかったら買い物とか事務的な用事の外出なので
あまりのんびりはできない。
そのせいか、急にすごく贅沢な気分になってすっかり長居してしまった。
彼はレストランのオーナー。かわいいやんちゃな2歳の男の子がいる。
その日はレストランの休業日。
「お昼食べてく?」と
さっと出てきたお料理(チキンのカレー煮)はやっぱり美味しかった。
お昼になると、奥さんが仕事から帰ってくる。
フランスの地方の家庭では
昼食を家でとる人が多い。
平日って休日の逆を言うはず、と何故かぼんやり考えた。
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日常 La vie
2008年3月14日金曜日
竹の音楽
マルセイユを中心に活動するバンブーオーケストラというグループが
隣の村にやってきた。
ちょうど先日パリの友人から話を聞いたばかりだったので
楽しみにしていたのだけど、
それは素晴らしかった。
竹取物語をユーモアたっぷりの音楽とお芝居で綴るスペクタクルで
竹で作られた舞台装置も衣装もみるみる楽器に早変わり、
こんなにいろんな音が出るんだ!と
ため息がでた。
終了後、友人のコネクションを頼りに楽屋に押しかけ、
演奏から楽器創作、作曲、演出を
手がけているという日本人のメンバーの方にお話を伺った。
日本の伝統音楽では、
竹は尺八など笛く楽器には使われていたものの
叩く、という考えはなかったそうで、
彼こそ竹の打楽器の発案者(今から20年前)という。
それにしても、こういう視聴者を楽しませるコンサートは
柔らかい頭と心なしには難しいと思う。
それには即興や他の分野との合同が不可欠、
私はどうも最近、そちらの方にぐぐぐと惹かれている。
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音楽 Musique
2008年3月11日火曜日
苺スプーン
苺が食べたくなった。
それでさっそく買って来て、あまり熟れていない硬い苺は
牛乳とミキサーにかけて飲み、
砂糖をまぶして1時間置いた苺を
デザートに食べた。
苺ミルクって、どうしてこう懐かしい味が
するのだろう。
実家にいた時は、ボールに牛乳と苺を入れて
苺スプーンなる、底がぶつぶつしている
スプーンで、ひとつずつ苺をつぶして食べた。
すると牛乳がきれいなピンクに染まる。
そういう食べ方を人に言うと、びっくりされることがある。
例えば私は大学生になるまでヒジキは
ご飯にかけるものだと思い込んでいたし、
食べ方というのは非常に個人的なものだ。
育った家庭や一緒にいる人に影響されて
いつの間にか当たり前になっている。
ミキサーの苺ミルクはさらさらして美味しかったけど
苺スプーンには負けると思った。
Libellés :
日常 La vie
2008年3月9日日曜日
今年は木で!
カーニヴァルと称して、
仮装した小学生達が
村を一周していた。
こういう時、
こども自身のキャラクター以上に、
親御さんの意気込みというか
趣味というかが
よく出ると思う。
兵隊、ドラキュラ、お姫様..と
定番のかわいい仮装に混じって
ひときわ注目を浴びていたのが
「木」。
この子のお母さん(またはお父さん)はきっと
「もういろいろやったし、今年はひとつ木になんなさいよ!」
なんて言いながら一生懸命、衣装を作ってあげたに
違いない。こどもは
「えー木?!」と一瞬がっかりしたかもしれない。
ところが
他のこどもたちも大喜びで、彼の葉っぱを触りながら
歩いている。作戦大成功!
なんて勝手に想像してしまう。
あとに色とりどりの紙吹雪が残った。
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日常 La vie
2008年3月6日木曜日
2008年3月5日水曜日
窓のある蛇を見に
春近し、と思っていたら油断ならない。
冷たい風で気温がぐっと下がった。
飛ばされそうになりながら
赤いほっぺの小さな子供達が
それでも元気にレッスンにくる。
歩いてたら遠くの鉄道橋に電車がゆっくり走っていくのが見えて、
図書館に返したばかりの絵本を思い出した。
おとなしいキリンが毎晩毎晩遠くに走っていくので
動物達が「どこに行ってるの?」と聞くと
キリンはこう答えるのだ。
「窓のある蛇を見に」
興味しんしんで動物達は
ある日キリンの後をつける。
そこには夜空の下、
光の漏れる窓の並ぶ長い長い列車が
蛇のようにうねりながら走っていた。
それは朗読CDのついた絵本なので、
じっくりと絵に見入ることができる。
絵本はだれかに読んでもらうのが一番いいもの。
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本 Livre
2008年3月4日火曜日
2008年3月2日日曜日
自分の主人
「いかにして自分の主人たりうるか」という言葉は
少し前に読んだ《女たちよ!男たちよ!子供たちよ!》という伊丹十三の対談集に
出てくる。
「孤立しているけれども自立してる人」は
「世界を自分でつかんでいる。自分の中にある自分が、自分の中から
手を伸ばして世界をつかんでいるわけですから、
この人は少なくとも自分の主人であって、だから
いわば疎外されてないわけです」
私はこの文章に、だいぶやられた。
なんていいこと言うんだろう、と思った。
自主性というのは自分が自分の主人である、ということらしい。
それ以来、頭から離れない。
今日は日曜日で久しぶりにのんびりした。
晴れた空にくっきりと浮かんだ飛行機雲が眩しい。
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本 Livre
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