2015年12月4日金曜日

サヨナラの方法


大好きな雑誌Flowにポジティブシンキングの特集があって
1日に4つ良いことがあって、ひとつ嫌なことがあった時
ヒトはついつい
そのたったひとつの嫌なことに飲み込まれてしまうと
書いてあった。

良いことはテフロン加工のフライパンの上をすべる油のようにつるりと
私たちを撫でて
嫌なこと、悲しいことはなかなか取れない焦げのように
私たちを捕まえて離さないから。

だからいつも敢えて4つの良いことを意識すること
悲しい気持ちにやられないように‥と脳心理学のお医者さんが言っている。


‥‥ 猫のアルバトロスがいなくなって1週間がたった。

大の仲良しだった娘に彼の不在をどう伝えるか、という問題は
結構あっさりと解決された。

先週金曜日、朝
 アルちゃんが‥と普通に話をしだした娘を抱きしめながら

あのね、よーく聞いてね、アルちゃんはね、いなくなったの、
お空に行ってお星様になったんだよ

え?お星様になったの?じゃあもう痛くないの?もう病気じゃないの?

うん、もう痛くないの、わかる?

うん、わかる

その日の夜、シッターさんのお迎え後、クリスマスのイリュミネーションを
見て急に思い出したように

アルちゃん、お星様になったの?

そして家に帰ると

アルちゃん、もう戻ってこないの?どうして?夢会いたいよ

と泣き出す。

うん、ママも会いたいけどね、もうおうちには来ないの
すごく痛かったからお空にいったの、でも
お空からいつも夢をみてくれてるよ、守ってくれてるよ
言いながら私も号泣、、

そして翌日、外を散歩しているとよその猫に出会い
話しかける

アルちゃん知ってる?この子もお空に行くの?

この子は痛くなさそうだからまだいかないよ、

ふーん、アルちゃん寂しいね、

だいじょうぶ、エベンヌもいるし、アルちゃんのパパとママも一緒にいて
皆で遊んでるんだって

え、パパとママもいるの、アルちゃんの?

そしてその日から娘はもう泣かなくなった。

今でも
このヨーグルトアルちゃんにあげよっか、とか
他の猫を見て
この子アルちゃんみたいにかわいいねー
言ったりするけれど
最初のように泣いたりはしない。

たくさんいる彼女の想像上の友達のひとりになったみたいに‥

まだまだアルバトロスの不在に慣れない私たちは
結局そんな娘に慰められている。

そして実体に触れられないという喪失感は
人間のエゴなのだと思ったりもする。




それでも押し寄せる寂しさや後悔に負けそうになる時は
4つの良いことを噛みしめて悲しさを押しやる。
そうよポリアンナ物語、大好きだったじゃないの
と思いつつ。

星空を見上げて娘とアルバトロスを探す。
まだちょっと私だけ涙ぐみながら。