2019年1月15日火曜日

祈りの場所


義母ミレイユが不意に亡くなって
5日も経ってから
やっと許可が出て
解剖の行われた
マルセイユの病院に
会いに行くことができました。

どうしてもマミーに会いたい
お別れをしたいと言い張る娘。
トラウマになるのではないか、
楽しい思い出だけを
持っていてほしいと、見せたくない、と私はすぐに守りに入りました。

けれど
ちょうど義父の
心のケアに来てくれていた
心療内科の先生に話すと
子供の意見は尊重すべき、
と言われました。
子供が自分から質問をしたり
はっきり意見を言うときは
答えを受け取る準備ができている
証拠なのだそうです。
一番大事なのは
ちゃんと向き合って話し合う
フォロー。確かに‥‥

そして日の出前に車2台に乗り込み
皆でマルセイユに向かいました。
車の中から見えた朝焼け、
マルセイユの鄙びたカフェでの
静かな朝ごはんを
これからずっと覚えているでしょう。

魂の旅立ったあとの義母の顔は
穏やかで表情がなく
別人のようで
抜け殻という言葉が浮かびました。

泣きじゃくる私たちに混じって
娘はまたじっと涙を流しながら
小さな体で現実と
向き合っていました。

そして
90歳で娘を無くしたマミーは
これはあの子じゃないと首を振って
静かに微笑み涙を流しました。

姿を見たら
実感が湧くと思ったのに、
やっぱり湧かない、
これは彼女じゃない

と、繰り返していました。

そして家に帰ると

しばらくして娘が私に言いました。

ママ、これからマミーは
神様みたいにお祈りしたり
お花をあげたりする場所になったの?

その顔が天使のように無邪気で
思わず抱きしめながら頷くと

じゃあまだマミーに
絵を描いてもいい?

と言い、時間をかけて
絵を描いていました。

  
それは
娘とマミーミレイユがたくさんの
ハートに入っている絵です。


裏は
スペルはめちゃくちゃだけど
感謝と大好きが
いっぱい入っている手紙。

また涙が止まらない。

棺にいれてもらおうね、
と約束しました。