2013年2月15日金曜日

Avec Ebène エベンヌと過ごす日々


Ebène se bat contre son cancer .
Elle mange très peu et elle dort beaucoup.
Mais toujours aussi calîne, toujours aussi courageuse...
Ebène reste " Ebène ".

エベンヌは
もうカリカリは食べられないので
缶詰のやわらかいごはんを食べる。
いろいろ試してわかった、
一番好きなサーモン味の
ゼラチンがたーくさんのっているごはんを
ほんの少し、小さじ一杯くらいだけど
1日に2回くらい、ゆっくりゆっくり食べる。



おひさまが大好きで
日のあたる寝室で
昼間は外をじっと見ている。
アルバトロスは
やっぱりエベンヌの変化をわかっていて
寄り添うようにしている。

いつもはエベンヌがしつこくアルバトロスのあとを追い、
あそぼーあそぼーと誘っていたのに
どうしてじーっとしているのか不思議そうに見ている。





時々猫パンチをしたり
トイレから出て来たエベンヌを待ち伏せして追いかけたりして
ちょっかいを出す。
そして反応のないエベンヌにイライラした様子でハーッと威嚇したりする。
おい、ちび!どうした?!と
言ってるんだと思う。


この日は、夫の首筋にうずくまったまま
昼寝をした。
3年間うちにいて、誰にでも甘える猫になったけれど
眠るのだけは私とで、彼にくっついて寝たのは
初めてだった。



今、こんなふうに
私たちは
エベンヌと過ごしている。

彼女がごはんを食べる時は気が散らないように
ふたりで物音を立てずにそーっと見守り
(アルバトロスは自分もエベンヌの美味しそうなごはんが食べたくてたまらない。
カリカリを食べながら気もそぞろなのでそちらも見張りつつ‥)
昼間はエベンヌにとって外がよく見えるように窓を磨き、
夜は寒くないように湯たんぽをつくる。
エベンヌは私たちが外から帰ってくると
相変わらずけなげに玄関まで迎えにくる。
2階で寝ていて目が覚め、
私たちが下にいると
降りて来て膝にのり、上に一緒に行こうと催促するように
短く鳴いてこちらを見ながら階段をまた上がる。

その度に胸がはりさけそうになりながら
しっかり抱きしめて
エベンヌ、いい子だね、かわいいね、と言う。






言葉を話さない動物の癌は発見が遅れることが殆どだそうだ。
それでも猫という動物は生命力がつよく、
こんなふうに病気が進行していても
ゆっくりゆっくり最後の時間を長引かせることもあるという。
なによりまだ甘えるとかごはんを食べるというのは
生きたい、という意思があること。

うちの獣医さんは私の生徒さんのお父さんで、彼自身も夫にピアノを習っている。
だから私の妊娠のこともよく知っていた。
癌が見つかった時点で
エベンヌが苦しむのとエリコのショックを避けるために、と安楽死を薦めた。
先生にとっては勿論私たちに対する配慮だったのだけど
夫はそれを強く断って
うちに連れて帰って来た。
エベンヌもエリコも最後まで一緒に過ごしたいだろうし
エリコは強いから大丈夫だ、と言ったそうで
私はそれを聞いて世も末というように泣きじゃくりながら
強くないよ、と繰り返した。
そして連れて帰って来てくれたことに
死ぬ程感謝した。


それから自分の中での劇的な感情の変化を毎日味わっている。

エベンヌが気持ちがよくなれるように工夫することなんて
ちっとも苦じゃない。

猫のトイレを換えるのにいつも不平を言っていた夫も
率先して毎日砂を換え、
猫ごはんをミキサーにかけ、時間が空けば寝ているエベンヌを見に行く。


小さなことで不平不満を言っていた自分たちが恥ずかしい。

エベンヌは赤ちゃんが来るまで、って頑張っているのかもしれないと
昨日ふと思った。
女の子どおし仲良くしてね、とエベンヌにも赤ちゃんにも
ずっと語りかけていたし
病気を知って私たちが感じたのは喪失感への恐怖だった。
エベンヌの苦しさを思うよりも先に
いなくなったらどんなに辛いだろう、赤ちゃんがくれば
その喪失感も埋め合わせてくれるだろう、なんて
都合のいい事を言っていた。

けれどエベンヌの毎日の頑張りが私たちのそのエゴに勝った。

彼女と過ごす事で
毎日少しずつ覚悟ができてくる。
少しずつ泣かなくなってくる。

出産前にこんなふうに穏やかな優しい、
そして大きな強い気持ちを感じさせてくれた、
これはエベンヌのプレゼントかもしれない。


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