2013年6月19日水曜日

若い彼らの進む道



30度を超える真夏日が続いて
今朝、突然雷が鳴った。
はちきれそうな空からザーッと雨が落ちてきて
やっと少し、気温が下がる。

もうすぐ夏休みだ。



さてこの間、何時間もかけて手紙を一通書いた。
この辺りで一番大きな音楽院の、高名なP先生へ。
私達が引っ越してきた6年前からうちにきている現在15歳のTくんが
4年前にこの音楽院に入学してP先生についている。
最初はとにかく
難しい曲やテクニックの宿題が山積みで
できていなくてもどんどん次の課題が出るやり方に疑問を持った。

けれど彼はぐんぐん伸びた。
男の子らしく突っ走ってしまう癖が抜けて
自分の出す音をじっくり聴けるようになってきた。
そしてP先生は彼が下見として
今も私のところにレッスンにきていることを
最初から承知で、試験のあとはいつも
私にもお礼を言うように、と仰るそうだ。

なんて心の広いセンセイだろう。

私のことは話さない方がいいんでない?なんて言って
楽譜への書き込みも遠慮していた私はズバリ小心者である。
課題の数とレッスン時間の割りが合わない音楽院では
校外での下見やホームレッスンは基本だ。
だけど先生自身のホームレッスンや
自分のお弟子さんに下見をまわすというのが
どこでも一般的だと思う。
音楽家なんてマフィアみたいに身内で固まってるのが普通。

音楽院に行くなら少し遠くてもそこへ行くように勧めたのは私達
(夫の出身校でもあるけれど、センセとソリが合わなかったので
T君受験当時は紹介できる先生はいなかった)だけど、
偶然こんなに素敵な先生に習うことが出来て
彼は本当にラッキーだ。

手紙を書いたのはそのお礼と、そしてもうひとり
ピアノが好きで好きでたまらない13歳の女の子を推薦するためだった。

彼女は3年前にうちでピアノを始め、その年の発表会で
バッハのインベンションを立派に弾いた。
家庭の方針で学校には行かず通信教育、
家ではずっとピアノに向かっているそうだ。
2年前に別のわりと大きい音楽院に入ったのだけど
私から見てもどうも簡単すぎるプログラムしかもらわないし
先生を慕ってる感じではない。
そして先日お母さんから先の音楽院への受験を相談された。
私は前々からそちらを勧めていたのだけど
先生にもう他の人(ワタシノコト)には習わないようにと言われて
思い切って辞めることに決めたという。
‥皆さん、ちと正直過ぎるのでは?と思ったけれど
件のP先生は来年度がリタイヤ前の最後の年と聞いて
急いで手紙を書くことにしたのだ。

T君に手紙を託し、彼女の演奏を聞いてくれるそうですという
返事をすぐに貰ったので安心していたら
なんと数日後
私の携帯にもお手紙ありがとうと電話を下さってビックリした。

仕事上のフランス語の手紙やメールはとにかく書いてみて
家族や友人に添削してもらう。
数を書くうちに日本語でもフランス語でも一番大事なのは
心を込めて書くことだなあと思うようになった。
私は電話が大嫌いなので時間はかかっても
文章を書く方が苦にならない。

初めてお話するP先生は
いかにも気さくで丁寧で頭の良さそうな方だった。
身内以外も信頼することができる柔軟さというのは
失う怖さがないからなんだろう。
電話嫌いの私だけど
ここは生徒ちゃんのため!と深呼吸して一生懸命話した。


これからこの若い彼らがどういう道を歩むにしても
その過程に付き合うことのできる私もまたラッキーだ。





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