2008年5月20日火曜日

この世の星を花という



車でよく通る道に、この頃真っ赤なヒナゲシがびっしり咲いている。
ヒナゲシは英語でポピー、フランス語ではコクリコ。
だけど私はヒナゲシというはかなげな日本語の名がいちばん好きだ。
風にゆれ、太陽に透ける、薄い花びらのヒナゲシ。

宮沢賢治の『ひのきとひなげし』では
ひのきに「まっ赤な帆船」と呼ばれて気を悪くしたヒナゲシたちが
スターになりたいと姿を変えることを願う。
その願望は結局失敗に終わるのだけど、ここで哲学者ひのきの言う台詞がいい。
「スターになりたいなんておまえたち、スターて何だか知りもしない癖に。
スターというのはな、本当は天井のお星様のことなんだ」
そして「あめなる星を花といい、この世の星を花という」と言葉から
ヒナゲシはもうすでにスターであると説くのだ。

こうして考えると、スターになりたい!なんてオツムがちょっと足りなさそうなところ、
英語のポピーと言う単純な響きも
悪くない。コクリコはなんだかしっくりこないけど。


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